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入院40日目。
「病気になって良かった」なんてことは、今はこれっぽっちも思わないけれど「入院して良かったこと」は色々とあったりする。
まずは病院という「未知の世界」についてそれなりに知れたこと。今まで病院は自分にとってすごく怖そうなところだった。その苦手意識が多少なりとも軽減されたのは良いことだと思っている。
自分のことについて考える時間ができたこともありがたかった。「自分が本当は何がしたいのか」ずっと考え続けている。やっぱり、ちゃんとした古本屋がやりたい、という気持ちが大きいことに気づいた。
飾東町でニセモノの古本屋をやっているけど、生業としての、ちゃんとした古本屋がやってみたい。そのためには姫路駅徒歩圏内でお店を開かなくてはいけないな、などと考えたりしている。
「力を貯めていつの日か…」というのが、難しくなってしまったからこそ、こういうことを考えるのだと思う。少しずつでも、着実に前進していきたい。
詩人 岩崎航さんの詩集に『点滴ポール 生き抜くという旗印』というタイトルがある。私はまだ読めていないのだけど、この詩集に収録された詩をSNSで読んで心惹かれたことを覚えている。せっかくなので一編を引用したい。以下、引用。
『貧しい発想』
管をつけてまで
寝たきりになってまで
そこまでして生きていても
しかたがないだろ?
という貧しい発想を押しつけるのは
やめてくれないか
管をつけると
寝たきりになると
生きているのがすまないような
世の中こそが
重い病に罹っている
以上。
入院から40日。24時間の点滴による栄養剤投与を続けている。これがなかったら、健康状態はもっと悪かったはずだ。
今日、医師からその点滴を抜く日程が伝えられた。なんとなく点滴ポールを眺めていたら、ふと上述の『点滴ポール 生き抜くという旗印』という詩集のことが頭に浮かんだ。私にとっても点滴ポールは紛れもなく生き抜くための「旗印」だったように思う。
岩崎航さんの第二詩集『震えたのは』もとても美しい本で内容も良さそう。点滴ポールと合わせてこの機会に読んでみようと思う。